「メタバース」という言葉がなくなるメタバースの未来
メタバースという言葉の定義は、一般にはまだイメージしにくいものです。
ゲーム内のアバターを動かす世界のことであるのか、実態のないデータを商品としてあつかう世界のことであるのか。
メタバースが完全に我々の生活に普及したとき、メタバースという言葉が無くなる未来を考えます。
メタバースが普及するには
昨今よく耳にする「メタバース」。
バーチャル空間・仮想空間と呼ばれていた一昔前のものとは違い、我々の生活そのものに染み込もうとしている勢いがあります。
私たちの生活に変化を及ぼすほどにメタバースが普及するには、どのような条件が揃えばよいのでしょうか。
VR/AR機器の改善と普及
メタバースという仮想現実を体感するために、現在最も身近なものがVR/AR機器です。
人々が思い浮かべるものはゴーグル型で目元に装着するものです。
一方で拡張空間を含む機器と考えると、スマートフォン端末でさえもAR機器と呼べるでしょう。
VR/AR機器はいまだ高額であり、誰もが手にできるものではないこと。
これがメタバースの普及にブレーキをかける要因のひとつと言えます。
そして
- 身の回りに携帯するために小型化されたガジェットになること
- 内部機能も含めて、現在のスマートフォンのアプリケーション並に高速で手軽なものになること
現在のVR/AR機器には、これらの必要性があります。
信頼できるセキュリティ
メタバースは、アバター間のやり取りをする空間のような、ゲーム世界とは似て非なるものです。
実生活そのものをメタバースに移し落とすことも最終的な目的とするため、保有資産の保管・管理場所が必要です。
そのため管理を担うシステムのセキュリティの厳重さは、今以上に強く求められるでしょう。
アカウントが持つ個人情報も大きくなるため、乗っ取られた場合の危険性も高いです。
メタバースのアカウントセキュリティが確固としたものとなり、資産を預けられるシステムがなければ、メタバースは成立し得ません。
法律・ルールの整備
2022年現在、日本の法律はデジタルデータの所有に関して対応していません。
法律や制度は、物事が進化し新しく動き出した後に、それらを整備するために作成・改訂される場合がほとんどです。
つまり技術の普及が先行し、それを補うようにして後追いで法整備がされるのです。
一方で、メタバースの運営をする民間も、普及拡大を目指しています。
民間主導でメタバース内のルール整備を目指す試みを始めており、これを「バーチャルシティコンソーシアム」と呼びます。
メタバースの市場予測
2020年頃から急速に成長をするメタバース。
将来的な経済市場規模は、予想をする各機関によって数字にばらつきがあります。
ただし、大まかには以下の3パターンに分かれています。
10兆ドル規模
金融機関によると、メタバースの市場規模は10兆ドルとされています。
これはVR/AR機器を介さないメタバースユーザーまでも計算に入れた数値です。
メタバースの市場価値を「経済全体の場」として捉えた考え方によるものです。
1~2兆ドル
多くの市場調査期間や投資機関による推測では、メタバースの市場規模は、1〜2兆ドルとされています。
VR/AR機器を使うユーザーに加えて、メタバース内でNFTの形でやり取りされる商品の価値を市場としている数値です。
NFT(Non-Fungible Token)とは「代替不可能な価値があるデータ」を表す言葉であり、絵画やコンサートの座席チケットが代表的なものとして知られています。
1兆ドル未満
その他一部の市場調査機関によると、メタバースの市場規模は1兆ドルの予測です。
これはVR/AR機器市場のみを数値化しています。
メタバースの市場価値を「現実世界で売買される商品のみと、さらにその一部」として捉えた考え方です。
どこまでがメタバースなのか
ここまでのまとめでは、予測される市場規模は「何をメタバースと定義するか」によって、大きく変動があることが分かります。
では、何をどこまでメタバースとするべきであるのかを考えてみましょう。
現在のメタバースは「メタバース的なもの」の集合である
現在メタバースとされているものとして
- VRChatのようなソーシャルVR
- 参加者のコミュニティとしての機能を持つゲーム
- VR/AR機器を介したバーチャル会議
などがあります。
これらは現段階ではメタバースの一部と呼ぶことはできますが、メタバースそのものではありません。
2022年現在では、メタバースそのものを100%体現していると説明できる商品やサービスは存在しません。
メタバースが変えるもの
メタバースという概念が100%実現されると、私たちの生活内で何が変わるのでしょうか。
現段階では「すべてが変わる可能性がある」としかいえないでしょう。
エンターテイメント・ビジネス・医療・教育に至るまで、ありとあらゆる分野でメタバースは変化をもたらします。
メタバースとして可能である(と考えられる)物事すべてが、完全なメタバースとしての世界になり得ます。
それは国やお金という概念にさえ、変化をもたらす可能性があるかもしれません。
まとめ
もう一つの現実に生きる誘惑のように、メタバースが広く普及するためには、いまだ乗り越えなければいけないハードルが複数あります。
それでもいずれメタバースは各分野で広く普及が見込まれるでしょう。
メタバースの普及に強く拍車をかける要因は、人間にとってメタバースという空間が持つ魅力が大きいことにもあります。
人間は「もう一つの現実に生きる誘惑」に、抗い続けることは難しいはずです。
いつか「自分の人生のうち、何%をリアル世界に置いておくか」を決める時代が来る可能性があります。
現在のSNSやスマートフォンの普及によって、「Web2.0」という言葉がなくなりました。
メタバースが普及したそのときには「メタバース」という言葉自体も無くなっているのではないでしょうか。
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