【2025年最新】データドリブンアトリビューションの基礎から導入方法や事例まで紹介

広告市場では「アトリビューション分析」が何年も前から提唱されていますが、各施策の評価を体系化し、適切に投資配分を行えている企業はまだ少ないように思います。
最近ではMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)専門会社も登場しています。ただし、年間で数百万円~数千万円のコストをこの分析だけに投資できる企業は多くありません。アトリビューション分析の必要性が高まる今こそDDAを活用してみてはいかがでしょうか。
本記事では、DDAの基本概念から導入方法までを解説し、実際の活用事例を紹介します。
DDAとは
データドリブンアトリビューション(DDA)は、ユーザーの行動データを基に広告の効果を分析・評価する手法です。従来の「ラストクリック」モデルや「ファーストクリック」モデルでは見落とされがちな、複数の接点を経由したユーザーの行動を考慮し、より正確な広告効果の把握を可能にします。DDAは、機械学習を活用して各タッチポイントの貢献度を算出し、広告予算の最適配分を支援します。
ラストクリック依存の問題点

多くの案件で、広告の評価方法としてラストクリックが採用されています。最後のひと押しとなったラストクリックCVでの評価方法は一見妥当に思えます。しかし、WEB上のユーザー行動が多様化する中で、ラストクリックのみで評価するのはリスクがあります。
例えば、検索広告やリターゲティング施策など、既存の見込み顧客を刈り取る施策ばかりが評価されがちです。その結果、認知や態度変容を促す施策の重要性が見過ごされ、広告経由の獲得数は増えても、WEB全体の獲得数の伸びが鈍化する可能性があります。
DDAのメリット
- 精度の高い効果測定
ユーザーの多様な接点を分析することで、広告の実際の効果を正確に把握できます。 - 予算の最適化
効果的な広告チャネルに予算を集中させることで、ROI(投資対効果)を最大化します。 - 柔軟なマーケティング戦略
データに基づいた意思決定が可能となり、市場の変化に迅速に対応できます。
DDAの導入

DDAを効果的に導入するためには、データの収集から分析、戦略への落とし込みまで、一連のプロセスを適切に整備することが重要です。ここでは、DDA導入の流れを詳しく解説します。
データ収集の整備
DDAを活用するためには、正確で網羅的なデータ収集が不可欠です。以下のポイントを押さえながら、データの取得環境を整えましょう。
- データソースの洗い出し
ウェブサイト、広告プラットフォーム(Google広告、Facebook広告、DSPなど)、CRM、オフライン販売データなど、ユーザーの行動データが発生するすべてのタッチポイントをリストアップします。 - データの一元管理
収集したデータを統合し、顧客ごとの行動履歴を把握できる環境を構築します。CDP(Customer Data Platform)やGoogle Analytics 360のようなツールを活用すると、データ統合がスムーズになります。 - クロスデバイス・クロスチャネル対応
ユーザーはPC、スマートフォン、アプリなど複数のデバイスを利用します。Cookieベースのデータだけでなく、ファーストパーティデータやログイン情報を活用し、より正確なユーザージャーニーを把握できる仕組みを整えます。 - リアルタイムデータの活用
静的なデータ分析だけでなく、リアルタイムでのデータ取得・解析が可能な環境を構築することで、広告運用の最適化が迅速に行えます。
データのクレンジング
収集したデータが正確でなければ、分析結果の信頼性が低下します。ノイズや不正確なデータを取り除き、分析に適した形へ整えることが重要です。
- データフォーマットの統一
異なるプラットフォームから取得したデータが異なる形式で記録されている場合、統一したフォーマットに変換して分析しやすくします。 - 重複データの除去
同じユーザーが異なるデバイスやプラットフォームでアクセスした際に生じる重複データを統合・整理します。 - ボット・スパムデータの排除
広告不正(アドフラウド)による無効なクリックやインプレッションを除外し、正確な広告効果を測定できるようにします。 - 欠損データの補完
不完全なデータを補完し、適切な形式に整えます。機械学習を活用することで、不足データの補完精度を向上させることも可能です。
アトリビューションモデルの構築
DDAを適切に機能させるためには、機械学習を活用したアトリビューションモデルの構築が必要です。
- DDA対応のツール導入
Google Analytics 360などのツールを活用し、データ分析基盤を整えます。 - 【応用】カスタムアトリビューションモデルの開発
業種やビジネスモデルによって最適なアトリビューションモデルは異なります。データサイエンスチームと連携し、自社のビジネスに適したモデルを開発することも有効です。
結果の分析と活用
DDAの導入後は、得られた分析結果をもとに施策を改善し、広告運用の最適化を図ります。
- PDCAサイクルの確立
DDAは一度導入すれば終わりではなく、継続的な改善が求められます。定期的にデータを分析し、戦略の見直しを行うことで、持続的なパフォーマンス向上を実現できます。 - データ分析体制の強化
データ分析に精通した人材の確保や、マーケティングチームの教育・トレーニングを実施し、データドリブンな意思決定ができる環境を整えます。 - 広告戦略の見直し
分析結果に基づき、広告チャネルごとの予算配分を最適化します。例えば、従来過小評価されていたチャネルへ適切な予算を割り当てることで、ROIの向上が期待できます。 - クリエイティブやターゲティングの最適化
ユーザーの行動データを活用し、広告のクリエイティブやターゲティング戦略を見直します。DDAの分析結果をもとに、より効果的な広告配信を実現します。
DDAの導入事例
Google検索広告におけるDDA運用結果
検索広告では、サービス名や会社名などの指名キーワード(ブランドキーワード)のCPAが安価なため、予算を多く割り当てがちです。しかし、DDAで評価してみると、指名KWの評価は低下し、代わりにビッグキーワード(BIG KW)の評価が向上しました。
これは、指名KWは広告を掲載しなくてもユーザーがCVしやすいため評価が低くなり、一方でBIG KWは、認知のないユーザーにアプローチしたり、態度変容を促すことで、直接CVには至らなくても重要な接点として機能しているためです。
また、DDAでしか評価されなかったキーワードが約200個発見され、ラストクリック評価だけでは十分な分析ができないことが明らかになりました。
ディスプレイ配信におけるDDA運用
ディスプレイ広告では、リターゲティングのCPAが安価なため、予算を多く割り当てがちです。しかし、DDAで評価してみると、非リターゲティング配信や、階層の浅いリターゲティングが高い効果を持つことがわかりました。
そのため、DDA評価を基に運用した結果、ラストクリック評価で運用していた場合と比較して広告経由の獲得数は5%減少しましたが、WEB全体での獲得数は20%増加しました。
まとめ
アトリビューション分析を活用することで、「見逃していた機会の発見」や「過剰投資の防止」が可能になります。獲得数が伸び悩んでいる案件や、リターゲティングなどの刈り取り施策に偏っている案件は、アトリビューションモデルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。