【初心者必見】リテールマーケティングとは？基礎知識やリテールメディアの活用法を解説

スマートフォンの普及やIT技術の発展とともに、人々の消費行動も大きく変化しました。現代のリテール（小売）業界では、顧客一人ひとりのニーズに合わせた対応が求められています。そこで注目されているのが「リテールマーケティング」です。

この記事では、リテールマーケティングの概要やメリット、具体的な種類をご紹介します。

リテールマーケティングとは？

リテールマーケティングとは、小売業者が最終消費者に対して、商品やサービスを販売するために実施するマーケティング活動全般のことを指します。実店舗はもちろん、ECサイトやアプリでの販売もリテールマーケティングの対象です。

リテールマーケティングの手法は、オフラインとオンラインに大きく分けられます。オフラインの手法として代表的なものは、店頭プロモーション、看板やチラシ、商品サンプリング、レシート広告、ポップアップストアなどです。オンラインの手法には、ECストア内広告、アプリ内広告、ソーシャルメディア広告、SEOやEメールマーケティングなどがあります。

小売企業は、商品を購入した顧客やECサイトに会員登録した顧客のデータを保有しています。リテールマーケティングではこれらのデータを活用し、新規顧客の獲得や、売上向上、顧客ニーズを満たす良質な購買体験を提供することができます。他社との差別化も実現でき、コンバージョンの向上が望めるでしょう。

リテールマーケティングが重要な理由

消費者の購買行動は、スマートフォンの普及やインターネットの広がりにより多様化しています。消費者は、店頭やチラシだけでなく、WebサイトやSNSを通じて商品情報を収集し、実店舗やECサイトで購入することが可能になりました。この多様化に対応するために、近年、リテールマーケティングが重要視されています。

リテールマーケティングは、新規顧客の獲得と既存顧客のリピート購入を促進するための戦略です。インフルエンサー・マーケティング、リファラルキャンペーン、リターゲティングなどの手法を用いて、顧客を引き付け、維持することを目的とします。これらの目的を達成することで、小売企業が顧客ニーズに応じた効果的なマーケティングを行い、ビジネスの成長を促進する重要な役割を果たします。

リテールマーケティングの主な戦略と手法

リテールマーケティングの主な戦略と手法は以下の通りです。

• プロモーション戦略：特売、割引、クーポンなどのプロモーション活動を通じて、売上を促進し、新規顧客を獲得する。
• デジタルマーケティング：ウェブサイト、ソーシャルメディア、メールマーケティングなどのデジタルチャネルを活用して、顧客とのコミュニケーションを強化し、オンラインでの売上を拡大する。
• リレーションシップマーケティング：顧客との長期的な関係構築を目指し、顧客のニーズに合わせたサービスや特典を提供する。
• マーチャンダイジング：商品の陳列や配置を最適化し、購買意欲を高めるための販売促進策を展開する。
• データ分析と顧客セグメンテーション：顧客データを活用して、ターゲット顧客を絞り込み、効果的なマーケティング戦略を展開する。

デジタル化によるリテールマーケティングの進化

デジタル化によるリテールマーケティングの進化は、顧客行動データの活用やAI技術の導入により、個別化されたサービスや製品提供、リアルタイムでのコミュニケーション、そして新たな顧客体験の創出を可能にしています。これにより、顧客との関係性をより深め、効果的なマーケティング施策を展開することができるようになっています。

さらに、AIとビッグデータの技術が、次章で紹介するリテールメディアの進化に中心的な役割を果たしています。これらの技術を活用することで、膨大な顧客データを分析し、消費者の行動パターンや嗜好を理解することが可能になりました。結果、個々の消費者に合わせたパーソナライズされた広告コンテンツが生成され、リアルタイムでのデータ分析、迅速な広告展開も可能となり、広告のROI（投資対効果）を最大化するための重要なツールとなっています。

リテールメディアを活用しよう

リテールメディアとは、小売企業が保有する顧客データ（ファーストパーティデータ）を活用し、広告を配信する手法のことです。リテールメディアはリテールマーケティング施策の一つで、近年の小売業界で特に注目されています。

リテールメディアでは、小売企業が持つECサイトやアプリなどの販売チャネルに広告枠を設け、そこにメーカーやブランドが広告を出します。リテールメディアの手法は、オンラインにおけるバナー広告やクーポン配信から、オフラインにおけるディスプレイやサイネージ広告など、多岐にわたります。

リテールメディアを目にする人達は、すでにECサイトや実店舗を訪れている購買意欲の高い顧客です。そのため、リテールメディアは、比較的マーケティング効果を得やすい手法と言われています。

リテールメディアのメリット

リテールメディアは小売企業（広告掲載先）・メーカーやブランド（広告主）・消費者の三者にとって、それぞれメリットがあります。

小売企業（広告掲載先）のメリット

• 高度にターゲティングした広告配信ができる
• 新たな収益を確保できる

リテールメディアでは、小売企業のプラットフォームにて広告を配信します。この時、小売企業が持つ顧客データを活用することができます。小売企業にとっては、これまで上手く利用できていなかったデータを有効活用する機会となるでしょう。

このデータには、例えばユーザーの年齢や性別、購入履歴、閲覧履歴などが含まれます。これらのデータを活用すれば、顧客の属性やニーズごとにターゲティングし、一人ひとりに最適な広告の配信ができます。顧客の興味関心に近い広告を届けるため、コンバージョンに結び付きやすいのです。

また小売企業にとっては、広告枠を販売することで、商品販売以外の収益を確保できるというメリットもあります。

メーカーやブランド（広告主）のメリット

• 小売企業の持つ顧客データを活用できる
• 効果測定と改善がしやすい

広告を出稿するメーカーやブランドにとっては、小売企業の持つ顧客データを活用できることが大きなメリットです。自社への興味関心が高い消費者に絞って広告を配信することで、効果的にリーチできます。

また、広告配信後は、配信先であるプラットフォームにおいて効果を測定しましょう。効果測定と改善を繰り返すことで、さらにマーケティング効果を高めることが可能です。

消費者のメリット

• 興味のある広告だけが表示される
• お得な情報を得られる

ECサイトやアプリでは、興味のない広告が表示されて鬱陶しく感じるユーザーも少なくありません。

その点リテールメディアなら、消費者の好みに近い広告が、関心の高まっているタイミングで表示されます。そのため求めている商品に出会いやすく、スムーズに買い物ができるのです。

さらにクーポンや割引、キャンペーン情報を受け取ることでお得に買い物ができ、満足度も向上します。

リテールメディアの主な種類4選

リテールメディアの種類は、オンライン・オフラインを合わせて多岐にわたります。ここでは主な手法を4つご紹介します。

ECサイト内広告

小売企業独自のECサイト内では、バナー広告やレコメンド広告を表示できます。バナー広告とは、サイト上部や下部に表示される横長の広告のことです。レコメンド広告とは、ユーザーの購入履歴や閲覧履歴などを分析し、好みに近い商品をおすすめする機能です。

アプリ内広告

ECサイトのみならず、小売企業が運営するアプリでもオンラインショッピングができます。アプリをダウンロードするユーザーは、すでに小売企業やブランドへの興味関心が高い状態です。そのため、アプリ内広告を上手く活用すれば高い効果が期待できます。

ECサイトと同じくバナー広告やレコメンド広告のほか、アプリならではのプッシュ通知機能を活用すれば、より効果的に情報を配信できるでしょう。

SNS広告

リテールメディアにおけるSNS広告では、小売企業が運用するＸ（旧Twitter）やInstagram、LINEなどのSNSアカウントを通じて宣伝をします。

SNSは、ユーザーにいち早く最新情報を届けられる、拡散されやすいといったメリットがあります。特に期間限定のキャンペーンやクーポン情報を発信するのに最適です。

【初心者必見】SNS広告とは？基礎知識や仕組み、メリット、成功のポイントを徹底解説

オフライン広告

リテールメディアの中には、各種オフライン広告も含まれます。例えば店頭に設置したデジタルサイネージ、ポップなどが挙げられます。

オフライン広告の強みは、消費者の近くに商品があることです。消費者はこれらの広告を目にしてすぐに商品を手に取れるため、購入を即決してもらえることも多いでしょう。

まとめ

競争率の高い小売業界において、リテールマーケティングは重視すべき施策です。特に、オンライン・オフラインの両方にリーチできるリテールメディアを活用しましょう。

しかし、的確にリテールマーケティングができている日本企業は、まだ少ないのが現状です。データ分析やターゲティングなど専門知識も必要とされ、運用のコツが分からないという企業もまだまだ多いでしょう。

リテールマーケティングの成功の鍵は、顧客ニーズと行動を深く読み解くことです。顧客データを収集し、分析することが重要ですが、データのみに頼り過ぎず、実際の顧客との接触やフィードバックを通じて理解を深めることが肝要です。効果的な顧客接点を創出し、売上増加とブランドロイヤルティの向上を目指しましょう。

この記事を読んだ方におすすめの記事はこちら！

【初心者必見】マーケティングとは？定義・重要性・最新手法・実践的なフレームワークを解説

プロフィール

吉田一貴

マーケティング支援会社での10年以上の経験。 広告運用に精通し、累計運用額50億円以上・30媒体以上の実績を誇る。 運用型広告に特化し、パフォーマンス最大化を目指すマーケティング戦略のプロフェッショナル。