マーケティング戦略

【行動経済学入門】ストループ効果とは?人々に受け入れられるデザインを心理学の面から解説

【行動経済学入門】ストループ効果とは?人々に受け入れられるデザインを心理学の面から解説

オーガニック化粧品のキャッチコピーに蛍光ピンクが使用されていたらどのように感じるでしょうか。商品のイメージと色が合っていないと、情報を理解するのに時間がかかってしまいます。このような心理をストループ効果と言い、ビジュアルマーケティングに多く活用されています。今回はストループ効果の概要からマーケティングへの応用方法まで解説します。

ストループ効果とは?定義と由来

​ストループ効果は、視覚情報が相反する場合に認知処理が遅れる現象を指します。​アメリカの心理学者ジョン・ストループが1935年に発見し、彼の名前にちなんで名付けられました。​例えば、「赤」という文字が青色で書かれている場合、その文字の色を答える際に時間がかかることが知られています。

ストループ効果から分かる人間心理

このセクションでは、ストループ効果の定義や研究内容から分かる人間心理を紹介します。これを理解することで、ストループ効果をマーケティング戦略に活かす際のポイントが分かります。

文字情報と色情報の一貫性を重視

人間の脳は、文字の意味とその色が一致しているとスムーズに認識できます。​しかし、不一致が生じると、情報処理に混乱が生じ、認識速度が低下します。例えば、健康食品のキャッチコピーに黒や蛍光ピンクを使用すると、消費者が不自然だと感じ、購買をためらう可能性があります。

「文字を読む速さ」と「色を見分ける速さ」に違いがある

一般的に、人間は文字を読む速度の方が、色を識別する速度よりも速いとされています。​これは、私たちの脳が「読む」ことを優先するように進化しているためです。例えば、店舗のPOP広告では、目立つ色(赤や黄色)を使いつつ、簡潔なキャッチコピーにすることで、消費者が素早く内容を理解できます。

ストループ効果のマーケティングへの応用

商品のイメージと反する色は避ける

商品やブランドのイメージと一致しない色を使用すると、消費者に混乱を与える可能性があります。​例えば、環境に優しい製品に赤色を使用すると、自然を想像させる落ち着いたイメージの製品と、強いエネルギーを表す赤色が不一致となり、消費者の認識に悪影響を及ぼす可能性があります。

言葉が持つイメージと色を合わせる

キャッチコピーや商品名の文字色を、その言葉が持つイメージと一致させることで、視覚的な一貫性を持たせ、消費者の理解を促進できます。​例えば、「フレッシュ」という言葉を緑色で表示することで、一目で食品の新鮮さが伝わります。

あえてインパクトを与える

意図的に文字の意味と色を不一致にすることで、ブランドの個性を印象付け、消費者の注目を集めることができます。例えば、高級感を打ち出したい商品の広告で、あえて手書き風のフォントやカジュアルな色使いを採用すると、「この商品は他と違う」と感じさせ、関心を持たせる効果が生まれます。​ただし、この手法は適切に使用しないと混乱を招く可能性があるため、慎重な検討が必要です。

ストループ効果の活用例

パッケージのデザイン

商品のパッケージデザインにおいて、文字の色と意味を一致させることで、消費者に好印象を与えることができます。​例えば、健康食品のパッケージに緑色を使用することで、健康的なイメージが伝わりやすく、購買率の向上につながります。​

キャッチコピーの文字デザイン

広告や販促物のキャッチコピーにおいて、文字の色と内容を一致させることで、メッセージの伝達効果を高めることができます。​例えば、「情熱」という言葉を赤色で表示し、背景に炎のイラストを配置することで、熱意や活力を視覚的に伝えることができます。

意外性の演出

意図的に文字の意味と色を不一致にすることで、消費者の注意を引き、ターゲット層を広げることが可能です。例えば、エナジードリンクは一般的に赤や黒、オレンジなどの力強い色が多く使われますが、あえて淡いパステルカラーを使うことで「優しさ」や「飲みやすさ」を強調することができます。これは、他の商品と差別化すると同時に、エナジードリンクを飲んだことがない層にアプローチする効果があります。

ストループ効果の注意点

ターゲット層に合わせたデザインを意識する

デザインや色使いは、ターゲットとする消費者層の好みや認識に大きく影響を受けます。例えば、洗練されたイメージを演出したい場合、白や黒といった落ち着いた色を使用するのが一般的ですが、子ども向けのおもちゃに過度に落ち着いた色を使うと、楽しさや親しみやすさが伝わりにくくなることもあります。ターゲットに応じた適切な色の選択が重要です。

文化的な背景を考慮する

色の持つ意味や印象は、文化や地域によって異なります。例えば、「白」は西洋では純粋さや清潔感を象徴しますが、東アジアでは喪の色として使われることがあり、使用の際には注意が必要です。色の選択はターゲットとなる消費者の文化的背景を十分に考慮した上で行うことが求められます。

まとめ

今回の記事では、ストループ効果の概要からマーケティングへの応用方法まで解説しました。ストループ効果は、文字の意味と色の一致・不一致が人間の認知に与える影響を示しており、​マーケティングに活用することで、消費者へのメッセージ伝達を効果的に行うことができます。​ただし、ターゲット層や文化的背景を考慮し、慎重にデザインや色使いを検討することが重要です。皆さんも、心理効果を踏まえたマーケティング戦略を立ててみてください。

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プロフィール
藤井翠
国際教養学部。 マーケティングに応用できる行動経済学や心理学の理論やフレームワークなどの解説記事を執筆。
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