【行動経済学入門】ハロー効果とは?消費者から選ばれる商品・サービス作りのヒントを紹介

スーパーで販売されているお菓子を食べると、高級感のあるパッケージに包まれたものや、有名なパティシエが紹介しているものは、他のものよりも美味しく感じることがあります。このように、商品の一部の特徴が全体の評価に影響を及ぼす現象をハロー効果と言います。今回は、ハロー効果の概要からマーケティングへの活用方法まで解説します。実際の活用例も紹介していますので、ぜひご覧ください。
ハロー効果とは?
ハロー効果の定義
ハロー効果とは、対象の一部の顕著な特徴が全体の評価に影響を及ぼす心理的現象を指します。例えば、ある人の外見が優れていると、その人の性格や能力まで高く評価される傾向があります。この心理効果はマーケティングにも活用されており、商品イメージの確立や、広告効果の向上に役立っています。
ハロー効果の由来となった実験
ハロー効果を示す代表的な研究として、アメリカの心理学者エドワード・ソーンダイクが1920年に行った研究があります。彼は軍の上官に、部下の外見・性格・能力などを評価するよう依頼しました。
その結果、部下の外見や性格が高く評価されると、能力や知性など他の項目も高く評価される傾向が確認されました。これにより、特定の特徴が全体の評価に影響を与えるハロー効果の存在が明らかになりました。
ハロー効果から分かる人間心理
第一印象の強い影響力
人は第一印象によって、その後の評価や判断が大きく左右されます。例えば、初対面で好印象を持たれると、その後の関係性や評価も好意的になることが多いです。
一部の情報から全体を判断する傾向
人は限られた情報から全体像を推測する傾向があります。例えば、ある商品のデザインが優れていると、その品質や性能も高いと感じることがあります。
マーケティングへの応用

広告
ハロー効果を広告制作に活用することで、企業や商品のイメージを向上させることができます。例えば、有名人を広告に起用することで、ブランド価値が高まり、消費者の信頼を得やすくなります。
商品デザイン
商品のデザインやパッケージを工夫することで、消費者に高品質な印象を与えられます。例えば、洗練されたイメージのある高級化粧品のパッケージはシンプルなものが多く、それにより使用感が上質であると感じさせる効果があります。
商品紹介
商品紹介の際のブランディングでは、商品の特徴やメリットを強調し、消費者の印象をコントロールできます。例えば、「無添加」「オーガニック」といった表現は、健康志向の消費者に対して良いイメージを与えます。
ハロー効果の活用例

インフルエンサーマーケティング
影響力のあるインフルエンサーが商品を紹介することで、その信頼性や好感度が商品にも波及し、購買意欲を高めることができます。例えば、美容系インフルエンサーがコスメを紹介することで、視聴者が「この商品は効果があるに違いない」と感じるようになります。
商品パッケージの工夫
シンプルで洗練されたデザインや、高級感のあるパッケージを採用することで、商品自体の価値が高いと認識されやすくなります。例えば、高級チョコレートのブランドが金色や黒を基調としたパッケージを採用することで、消費者の「高級品」というイメージを強化できます。
専門家の推薦
医師や研究者などの専門家が「この商品は効果がある」と推奨することで、消費者はその商品を信頼しやすくなります。例えば、医師監修のダイエットサプリは、そうでないサプリと比べて多少値段が高くても、消費者から選ばれやすくなります。
ハロー効果の注意点
ネガティブ・ハロー効果
ポジティブな特徴が全体の評価を高める一方、ネガティブな特徴が全体の評価を下げる「ネガティブ・ハロー効果」も存在します。例えば、商品の広告に起用した有名人が不祥事を起こすと、これまでプラスに作用していた商品イメージがマイナスに作用する場合があります。このようなリスクを理解した上で、慎重にハロー効果を活用しましょう。
効果に持続性がない
ハロー効果は、商品の機能と、実際使用した際の評価が必ずしも一致するわけではないため、効果に持続性はありません。そのため長期的な購入者を増やすには、ハロー効果に頼りすぎず、持続的な品質向上や顧客満足度の維持が必要です。例えば、特定の機能のみを前面に押し出して宣伝した場合は、他に差別化可能な機能を増やすなど、新たな改良を加えていくことが求められるでしょう。
まとめ
今回はハロー効果について、その仕組みとマーケティングへの応用方法まで詳しく解説しました。ハロー効果を利用すれば商品やサービスの価値を高めながら効果的な販促活動を行えますが、ネガティブな側面や長期的な顧客満足度の維持にも目を向けることが重要です。心理効果をうまく活用しながら、商品そのものの品質向上を目指すなど、総合的な戦略を立てることを意識してみてください。