【アド論アーカイブ】反省するためのKPIなんていらない ~ 今さらだけど理想のKPIについて考えてみた ~
KPIという言葉、アド論の読者の皆さんならもちろんご存じですよね。
現在、ビジネスのシーンではすっかり当たり前の概念として使われているKPIですが、この言葉が最初に使われたのは1992年のハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)誌に掲載されたKaplan 氏とNorton氏のバランススコアカードに関する論文の中でのこと。意外と新しい言葉なのですね。
それから30年弱、インターネットマーケティングの世界でもすっかり定着し、誰もが日々の業務で普通に使用している今だからこそ、改めて「理想のKPI」について考えてみました。
「反省するためだけのKPI」なんていらない
KPIの失敗あるある、そのダントツ第1位(スミマセン、個人的見解です)は「報告や振り返りのための指標=反省KPI」となってしまっているパターン。
そもそもKPIとは何か?
KPIとは、ご存じのように目標指標(KGI)を達成するための「プロセスがうまく進んでいるか」をモニタリングするための指標です。
つまり本来は、目標を達成するために何がどのくらい足りなくて、その差を埋めるためにはどのようなアクションをとらなければいけないか?を考え、実行に移すための「めちゃくちゃアクティブな」指標なのです。
にもかかわらず、月1の会議で業績を振り返るためだけに使われている、なんてケースがまだ結構あったりするのですね。
理想のKPI「3つのポイント」
では理想のKPIとは何か?
私は、最低でも以下の3点を満たしている必要があると考えています。
①目標達成までのストーリーが明確であり、そのストーリーの進行に大きく貢献するキーポイントをモニタリングする指標としてKPIが設定できている。
(一般的にひとつのKGIに対して複数のKPIがツリー上に設定されることが多いですが、うまく設定されているKPIはそれらを順番に並べるだけでプロジェクトのメンバーに目標達成までのストーリーをイメージさせる共通言語となります)
②KPIとそれに寄与するアクションがリンクしていて、振り返りと改善のサイクルが手遅れにならないレベルのスピード感で確立されていること。
(ここがしっかりとできていれば、少なくとも「反省するためだけのKPI」にはならないはずです)
③どのアクションをとればどれだけKPIに反映するのか、またどのKPIをどれだけ動かせばどれだけKGIに寄与するのか、の予測とKPIの重み付けができていること。
(実はこの部分、個人的には最も大切なことだと考えています。これができていないばかりにせっかく良いKPIを設定してもそれが形骸化してしまい最適な改善アクションを選択できなくなってしまいます)
最後に
あたりまえの言葉になり過ぎている今だからこそ改めてKPIについて考えてみた今回のコラム、いかがだったでしょうか。
また、今回のKPIのお話は本メディアの特性上ネットマーケティング寄りのお話になっていることはご了承ください。
※アド論掲載日 2020年1月16日
- ライター:神津 洋幸(こうづ ひろゆき)
- ストラテジックプランナー、リサーチャー。Webプロモーションの戦略立案、Web広告効果の分析・オプティマイズ、各種リサーチなどを担当。前職はマーケティングリサーチ会社にて主に広告効果の調査・分析・研究業務に従事。2004年より現職。
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