【アド論アーカイブ】オフラインの媒体も交えて最適な広告予算のアロケーションを考える
ネット広告、チラシ、テレビなど指標が違う企画を横断した予算最適化は難しいですが、各企画内で最適化するよりも、横断して最適化したほうが効果がよいのは明白です。テレビとネット広告の予算のベスト比率など気になる方も多いのではないでしょうか。今回はそんな指標が違う企画を横断して評価する方法をご紹介します。
媒体・ネット広告内の予算最適化は可能
GoogleやYahoo!など各広告媒体社は自動入札などを提供しているため、各媒体内で予算の最適化は難しくないかと思います。また、媒体間もコンバージョン単価やクリック単価など同じ指標で評価が可能なため、単価が安価な媒体に予算をスライドするということで予算最適化を実現しているかと思います。しかし、オフラインの企画や動画広告など別々の指標で評価しているものを横断で予算最適化するのは難しいです。この難しい横断の予算最適化に対して純増効果を用いてアプローチしてみます。
純増効果測定
純増効果とは、特定の施策・企画を実施したグループと、していないグループの2グループに分け結果を比較した差異のことを指します。
この純増効果を適応するには、「①グループを分ける」、「②比較できる同一指標」を準備する必要があります。
Facebookのインクリメンタル測定などを活用することで純増効果の測定が可能です。しかし、媒体提供の機能ではGoogleやYahoo!など他媒体はもちろん、オフラインなどの企画を評価することは難しいと思います。
エリア別純増効果測定
それでは、冒頭に記載した、別指標の施策・企画の予算最適化を純増効果を活用して実現する方法をご紹介します。
「①グループを分ける」
こちらに関しては、地域でグループを分けます。
条件・設計としては、母数や効果が親しい地域を2グループ用意し、片方には評価したい施策を実施、もう片方は非実施になります。
第三者要素が入り込まないよう他の施策や企画は揃える必要があります。
「②比較できる同一指標」
指標はその地域からのオンライン・オフラインも含めた獲得数にします。
WEB施策であっても、ユーザーは施策に触れた後、直接店舗に来店することや電話をかけることもあると思います。逆に店舗などで見たものをECサイトで購入することもあります。オンラインとオフラインの垣根がなくなっている今はどんな施策・企画であっても両方の指標を合わせて評価すべきと言えます。
上記が用意できれば、地域の獲得数の差から純増効果を測ることができます。
検証結果
オフライン施策(テレビなど)、インターネット広告施策の予算比率を①8:2、0:10と2グループに分け検証した結果、地域のCPAは①100%、②40%という結果になりました。この結果から、8:2という予算配分よりは、インターネット広告にすべての予算を使ったほうが効果がよいということが分かりました。もちろん、サービスやKPIによってベストな予算配分は変わると思いますが、この検証を繰り返すことで各企画横断の予算最適化が可能になるかと思います。
まとめ
ミクロの領域を最適化していくだけでは、どうしても限界がきてしまいます。そのため、「媒体→WEB広告→WEB」と最適化の領域が広がってきました。
しかし、オンラインとオフラインの垣根がなくなってきた現代はオフラインまで含めた「全体最適化の時代」が来ていると言えます。
別指標の企画・施策を横断で評価するのは難しい取り組みになりますが、その分、効果が大きい部分になります。今回、紹介した純増効果を活用した効果測定は全体最適化のための1つのアプローチ方法になると思います。今後、どんどんオフラインとオンラインの融合が進むことが予想されるため、全体最適化の準備を進めておくとよいかもしれません。
※アド論掲載日 2020年3月4日
- ライター:TRUE MARKETING編集部