インフルエンサーマーケティング

サムライパートナーズ入江氏が語る「Youtubeが変える、インフルエンサーマーケティングの本質」

サムライパートナーズ入江氏が語る「Youtubeが変える、インフルエンサーマーケティングの本質」

2021年4月にGMO NIKKOは担当広告領域の拡張を狙うべく株式会社サムライパートナーズと事業提携を行いました。
今回、サムライパートナーズ社の代表取締役社長である入江氏をお迎えし、今後のインフルエンサーマーケティングの展望やYouTube領域における成功のポイントを語っていただきました。

(左)GMO NIKKO 社長室 トップクリエイターチーム チーフ 大道 樹氏
(中央)サムライパートナーズ 代表取締役社長 入江 巨之氏
(右)GMO NIKKO 広告事業本部 インフルエンサーマーケティング部 エグゼクティブマネージャー 真柄 翔氏

コロナ禍におけるマーケティング・Afterコロナにおけるマーケティングをどう考えるか?

真柄:
新型コロナの影響で色々な企業様で広告費を削減する傾向にあり、まさに今予算の見直しをしている時期でもあります。また、緊急事態宣言が解除され、今後マーケティングが変化していく中、インフルエンサー・YouTubeの重要性についてご意見をいただければと思います。

入江:
そもそも大前提として、マーケティングの理論が全て変わってくると感じていて、
今までのやり方が全く通用しなくなると思っています。

何故かと言うと、個人が持つ個々のメディア(SNSなど)が大メディアよりも信用性や信憑性あがってきており、それがさらに加速していると感じているからです。

またそれは色々な技術の進歩によって、ユーザーが嘘を言っているのか、それとも本当のことを言っているのかが判定され、その結果が紐づけられていくようになる世界になると考えます。
その傾向は既に出ていて、大メディア(TVやニュース)より、個人がTwitterで先にあげてしまい、それがトレンド入りする。事後報告としてTVで放映・報道を行う。例えば地震があったというTVの速報より、個人のtwitterの方が早く情報は伝播します。

つまりこれだけ個人メディアが強くなってくると、そもそもマーケティング自体が変わってくるよね。というのが僕の考えです。
よくYouTubeはPRに向いている、twitterとかTikTokとかはあまり向いてないと言われています。なぜ向いていないか?それは短い動画なので内容がPRだけになっちゃうから。そもそもPRだけの動画なんてユーザーや視聴者はみたくない。
YouTubeは長尺のためその点を解決しているのだと考えています。

真柄:
ありがとうございます。TikTokとかYouTubeショートなど短尺動画が最近流行ですが、それでも長尺のような長い動画のほうがよいのでしょうか。また、ショートムービーはなぜ消費者にウケけているのでしょうか?

001

入江:
そうですね、今の若い子って長い動画を見るのがしんどくなっているのではないでしょうか?
今の若い子ってCMが入るのもしんどい、長い動画も見るのがしんどい。
単純にショートが伸びている理由はそうなのでは?と思います。
ただ、僕はその状況はやばいと思っています。なぜならショートだと動画からなにも学べないですし。
YouTubeはきちんと動画内で何かの説明を長くすることができるので信頼性を高めることができます。あとストーリーを作りやすい。
ストーリーを作るには長尺ではないとダメです。PRも含めたストーリーを作るにはYouTubeというメディアが一番向いているんですね。

真柄:
YouTubeが各種SNSの中でPRに向いているメディアだということが理解できました。
ではここからは、サムライパートナーズ社との事業提携における弊社中心メンバーである大道君にも話を聞いていきます。
サムライパートナーズ社と連携してファンマーケティングやYouTubeを使ったプロモーションの案件を一緒に実施していく中で、今までやってきた運用型広告中心のデジタルマーケティングとの違いについて気が付いたことを教えてください。

002

大道:
まずギャップに感じたのは、サムライさんのクリエイターさんファーストという考え方です。
また、業務を遂行する中で気づいたところとしては、ファンマーケティングにおいてはクライアント様とクリエイターの2方向がWinWinになるだけではなく、同時に消費者もWinWinWinにする三方良しが非常に重要と感じました。

クライアント様が伝えたいことをキチンと伝え、クリエイターもやりたいことがきちんとできていて、それでいて消費者も楽しい、この3点が全て揃っていることがとても大事なんだと思いました。

真柄:
GMONIKKOではYouTubeを主軸にインフルエンサー施策をかなり強力に推進しておりますが、やはり入江さんが仕掛け人として企画し、ニュースになるような事例とか実績を叩き出しているのを身近にみていると、とても参考になります。
成功事例はこれまでたくさんあると思いますが、その背景や成功するための要因など是非お聞かせいただけますか。

003

入江:
そもそも、大前提があって。「どうやったら人が反応するか?」があるんですよ。

変なことって思うかもしれませんが、面白い・変わったことをすると人は反応する。例えば、ペヤングの焼きそばをもっと巨大化させてみようとか。
企画する際には、なぜ人が反応するか?を徹底的に考えました。YouTubeでも同じです。
人が見たいと思っているものを考える・実行する。このバナーをどうしたらクリックするか。見たいと思われるか。というデジタル広告の考え方と同じです。

メガネメーカーのOWNDAYSさんでは「ギネス記録を達成しよう」という企画を実施したのですが、ファンも巻き込んで応援しよう・されよう、という座組を組めたことが成功の要因でした。

また飲食店チェーンのジョイフル様ではYouTube企画を実施したのですが、この企画は賛否両論がかなりありました。ただ、普通に良いことを言っているだけのコンテンツはバズらないんです。

動画の企画はストーリー性をこめて作らなければならない。
視聴ユーザーからの賛否はあっても、僕らはそれを踏まえて、その人たちに逆に納得してもらうものを作るのが大事と考えています。
賛否が両方ともないと話題にならない。賛否がある企画というのをやりつつづけるのが非常に重要で、そのことを常に考えながら企画を考え仕掛けています。
ただきちんと賛否の否の部分はお客様の声として、受け止めをきちんと改善していくのを
大事にしていますね。

真柄:
ジョイフルで思い出したのですが、タレントのD2Cについてもたくさん成功事例を作っていますね。その要因についても教えてください。

入江:
今の業界ではタレントD2Cは本当に失敗しています。90%は失敗していると言っても間違いではないと思います。
その答えはただ一つ。
「タレントが本気でやってないから。」
要は普通に案件という形で依頼して、タレントは写真だけとられて、これでよかったですよね。みたいな感じでタレント本人は何もやってないから失敗するんです。
それに比べて、ヒカルは試食はする、ダメ出しはしまくる。アパレルでも何でも妥協を許さない。本当に気に入った商品や企画しかやらないから売れるんです。

ファンに対して信頼を積み重ねているのも重要なポイントです。
ヒカルはいつもファンを裏切らないように動いているので、取り組み自体が信頼される。だからファンは買うんです。

ただ、ヒカルがこの企画やるっていっても全部自分でできないから僕らがやる。
彼が恥ずかしくないものをやる。ヒカルがジャッジをする。そしてうまくいく。

D2Cは企業様から頼まれればやるケースはあるけど、本人のやる気次第で全く結果が変わってきます。それが成功の要因だと考えています。

■ヒカルさんジョイフルのYouTube動画

成功事例①
ファミリーレストラン「ジョイフル」様とYouTuberヒカルとのコラボメニュー。
実店舗の大幅な集客向上に加え、Amazonや楽天といった通販サイトでの食品部門で売上1位を獲得。
株式会社ジョイフル様の株価は販売開始当日に一時ストップ高となった。
引用:https://www.samurai-partners.jp/creatives/397/

成功事例②
メガネメーカーのOWNDAYS様で販売本数をギネス世界記録として登録するという一大プロジェクトを実施。
本チャレンジは感染症対策徹底の上、OWNDAYS フラッグシップショップである心斎橋店で開催され、記録挑戦のリミットである8時間で合計1547本のメガネを販売し、世界一売れたメガネとしてギネス世界記録に認定された。
引用:https://www.samurai-partners.jp/creatives/410/

真柄:
先ほど賛否というキーワードが出てきましたが、否という点で考えると、企業様の中にはSNSでの炎上や企業や商品に対するクレームが発生することをリスクと捉えて躊躇するケースが大手の企業様になるほどありますが、その点はどう考えますか?

入江:
僕らは、そう思っている企業が多い業界があれば、あえてその業界を攻めたいです。
例えば食品業界はインフルエンサーの炎上リスクを心配する企業様が多い業界ですが、だからこそあえて食品業界は攻めていきたいと思っています。
その他では化粧品業界など、ネガと思ってるところは全て攻めていきたいですね。

これは今プロモーションを支援している某会社でのことですが、創業1期目でYouTubeプロモーションをやったことで年間100億円以上の売上を達成した、という例もあります。
1期で100億って普通は絶対に無理ですよ。しかもその会社はたった4人しかいないのに(笑)

真柄:
営業利益率が半端ないですね(笑)

入江:
話を戻すと、インフルエンサーをネガに思ってる業界、めちゃくちゃ分析しています。そしてまずはその方々と話をしたいと思っています。
リスクって何をやっても存在するんです。インフルエンサー以外のタレントビジネスでもそう。インフルエンサーだけが炎上するというのは間違い。
逆に企業や商品に炎上リスクがある場合は、(それを避けるために)僕らが企業を選んでる。
大手が炎上リスクを気にするのはわかりますが、実はあまり意味がないと思います。

004

真柄:
YouTuberを使ったタイアップをご実施いただくケースがかなり多いのですが、CPAや獲得件数など定量目標の想定シミュレーションがなかなか立てにくいと考えています。この点、入江さんはどう考えていますか?

入江:
これは正直難しいところですね。企画や商材によって得られる結果はかなり異なります。広告とは違いますので正直見えない部分は確かにあります。
ただ、ヒカルのオリジナルブランドであるRezardを例にとると、CVRは5%を超えています。直近では7%に達しています。これは1本の動画で洋服が2,5億円売れてしまうということなんです。
つまりチャレンジだと思うんですよね、これ。あまりにも獲得件数や獲得単価を気にしすぎるとクリエイターは誰もやりたくなくなる。振り切るしかないんですよ。

大道:
それでもマーケティング担当者が納得しない時、入江さんなりにどう対応しているのですか?

入江:
やっぱり企画力じゃない? やはり面白いと思ったらそれが刺さる可能性は高い。
某美容メーカー会社様なのですが、取り組み当初CPAやCVRを気にしまくっていました。CPAはどれくらいなんですか?CVRは何%くらい出ますか?と。
ただそれ全部無視していました(笑)
ファンマーケの本質は、面白いことをやれば応援されるということなので。
その会社様では、企画として30時間の生放送を実施したんですよ。
ずっと配信してるんですよ、30時間(笑)
ただ、その会社様は30時間の生放送を本気で頑張ろうという気持ちで一緒にやってくれたんです。社長は女性の方だったのですが、すごく頑張ってくれた。だから僕らも本気でサポートしました。
ファンもメチャクチャその社長さんやスタッフさんを応援してくれた。ファンもそういう本気で頑張っていることが見えると、その企業を応援するんです。

企業様と一緒にコミュニケーションをとっていくことが重要です。
強引に買わせようと思っていてもダメ。見ていたらユーザーは気づくじゃないですか。
あ、これ買わせようとしているなって。
僕らもクリエイターも企業様と一緒になって本気でいいものを応援していれば、企業様は「買って買って~!」と言わなくてもいいんですよ。

(企画など)何かをやるときは、企業と一緒に取り組むというのが重要ではないかと思います。
KPIとかデジタル指標は抜きにして、ファンも含めいろいろな人から応援してもらおう、という視点が大事なんです。

刈り取り(獲得)は広告でやればいい。
流入させるところまでが僕らのミッションだと思っています。
YouTubeで獲得効果まで求めようとするので失敗するんです。
この仕事を何年もやっていますが、これまでクライアント様にコンバージョンやCVRの話は全くしたことがありません。

YouTube自体は撒き餌みたいなもので話題を作るのがベースだと考えています。なのでGMONIKKOさんと組むことによって、インフルエンサーに加え広告や各種デジタルマーケの施策が加わり、獲得までワンストップで実現できるのが良い部分ですね。

真柄:
ありがとうございます。我々のような広告代理店はインフルエンサー商材においてコンバージョン数・CPA至上主義のマーケティング担当者様のマインドセットを変えることに苦労しているところが多いのですが、その点工夫していることがあれば教えてください。

大道:
まだまだマーケティング担当者がインフルエンサーマーケティング自体を知らない、というケースが多いですね。なので、まず市場・業界を知ってもらうことが大切です。また、僕が現場撮影や企画進行などで実際に感じたリアルな体験をマーケティング担当者の方にお話しすることで、数字のみで完結できない部分について納得感を持ってもらうことを心掛けています。

真柄:
インフルエンサーマーケティングをやったけど失敗したとか、思うような結果がでなかった企業様向けに成功のポイントを教えてください。

入江:
そうですね。どれだけインフルエンサーが本気になるかどうか。その商品やサービスが自分自身で使いたいか。じゃないですかね。

タイアップって事はお金もらってやっている訳じゃないですか。
僕らは、先に商品やサービスをインフルエンサーに使わせるんですよね。それがあると本人も使い勝手などがわかるじゃないですか。なので1週間は使ってもらったりしていますね。事前にインフルエンサーに使用してもらうのは本当に重要です。

真柄:
ありがとうございます。コロナ禍でYouTubeの視聴時間が増えていますが、今後も増えていくとお考えでしょうか。

入江:
そうですね。増えていくと思います。
制作物のクオリティがあがってきているし、親しみをもつコンテンツがどんどん増えてます。

真柄:
なるほど、afterコロナでもYouTubeは引き続き有効な施策というわけですね。諸々貴重なお話をいただき、本日はありがとうございました!

ライター:真柄 翔(まがら しょう)
セガサミーグループ、ファンコミュニケーションズグループを経て10年以上インターネット広告に従事。
2015年にGMOTECHに入社し、アフィリエイト事業、インフルエンサー事業部責任者として従事。
2020年11月にGMONIKKOにジョイン後、インフルエンサー事業の新規立ち上げに邁進中。
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