売上好調&工数削減を実現した販売DX戦略とは?<事例> コベルコ建機インターナショナルトレーディング上山敬様&村田秀彦様インタビュー
今年4月、コベルコ建機インターナショナルトレーディング株式会社は、中古建設機械をリアルタイムに「競り上がり入札」(*1)できる同社初のネットオークション『KOBELCO公式中古建機サイト』をリリース。立ち上げ早々に売上好調と工数削減。これまで日本国外からお客様を集めて「封印入札」(*2)式の入札会をリアル開催してきた同社のネットオークションDX戦略について、取締役兼ショベル営業部長・上山敬様、取締役兼クレーン営業部長・村田秀彦様に話をお伺いしました。
(*1)「競り上がり入札」…買い手が他の買い手の入札価格を知ることができ、競り上げといった価格決定のプロセスを採用したオークション方式。
(*2)「封印入札(一般競争入札)」…入札価格が非公開のため、買い手側のオークション入札は一度限り。入札期間が終了し、開札を行い落札者が決定されます。
詳細はこちら オークションのビジネスモデルについて!|GMOクラウドEC 〜ECNews〜https://www.cloudec.jp/ecnews/auction02/
──ネットオークションを刷新した背景は?
上山様
コロナ前は年3回、お客様を国内外から呼んで開催するリアル入札会を行っていました。会場に来た方は、直接機械の状況をご確認いただき、希望額を書いて提出。会場に来られない方も、サイトやメールでお送りした情報を元に応札用紙をFAXやPDFをメールで送ってもらう方法で、入札期間終了後に1番最高値の方に入札が決まる「封印入札(一般競争入札)」を採用していました。
販売の仕組みとしては、封印入札だとオークションとして盛り上がらないこと、数をこなせないこと、入札情報を手動で管理しないといけないことなどの数々の課題がありました。
村田様
サイトや基幹システムが古くなっていたことも課題でした。2016年にショベルとクレーンの会社合併があり、システムが別だったこと、そしてクレーンのサイトではAdobe Flashがサポート終了したため画像が表示されないなどの問題も起きていました。ただ合併したらサイトや基幹システムも新しくなるということで我慢をしていました。
リアル入札会は、中古建機を動かした時に異音がしないかなどを直接聞いてご納得いただけることや輸送方法やコストの商談ができたため、とても大切な場でしたが、コロナになって開催できなくなってしまいました。
上山様
このような課題があり、システム構築とサイトを作れるベンダーを探したときに、経験とセキュリティに信頼感があるGMOさんにお声がけしました。
──まさにDX化と言える取り組みかと思いますが、きっかけはコロナだったのでしょうか?
村田様
計画自体はショベルとクレーンが統合する2016 年の中期経営計画に入れていました。当時すでに、基幹システムと在庫管理システムが10年くらい経っていたためシステムダウンを起こしていました。それと合わせてオークションに「競り上がり入札」の仕組みを導入することを検討していました。
しかし、事務所の建設などの設備投資を優先したため、システムやサイトはたまたまコロナのタイミングになっただけです。コロナでリアル入札会が開催できなくなったという点では、計画しておいて本当に良かったですね。
──リリース後、変化はありましたか?
上山様
ヤフーオークションのように入札期間中に入札状況に合わせて何度も入札できる「競り上がり入札」になったため、オークションは盛り上がっています。ある機械は当社の想定額よりも大幅に超えて落札されることもあります。ただ3日間の開催期間があってもラスト1〜2時間にならないと入札が増えないので、今だに毎回ヒヤヒヤしています。
売上や利益率としては、為替などの色々な要因はありますが、ネットオークションは数も多くさばけるようになったこともあり今のところいい結果がでています。
村田様
現場からは、オペレーションが簡単になり、工数削減している声が上がっています。これまでは落札した案件に対して、1 件ごとに基幹システムに情報を入力していましたが、システム連携で不要にしました。毎回1 時間ほどかかっていた作業が、15 分ほどの確認作業で済むようになったと聞いています。入力ミスを回避できるという意味でも、システム連携の効果は大きいと考えています。
慎重に早急に、キックオフからリリースまで9か月。
──サイトやシステム制作過程で、大変だったことはありますか?
上山様
「競り上がり入札」を導入することに対しては、社内からの反対意見は特にありませんでしたが、要件定義では一番時間がかかりました。競合他社サイトを見てもお客様側の画面しか見えないので、管理者側の裏の仕組みや機能についてゼロから作り込む必要があったため、一番大変でした。
また、ショベルとクレーンのシステム統合やサイトデザインの部分では、まずショベル側で進めてもらい、その後クレーンで必要な部分については、議論して細かく詰めていきました。
──特にこだわったポイントは?
上山様
サイトデザインはお客様に見てもらうところなので、GMOの菊野さんにこだわって作ってもらいました。特にオークションページは、お客様に触ってもらってなんぼのものなので、ボタン位置やサイズ、フォントのサイズなどを何度か微調整して、とても使い勝手がいいものになりました。
また、管理者側の画面がとても見やすくなりました。特に見たいものが1ページに収まるようになったので、管理や集計の負荷が減りました。
画面の部分は、こだわった甲斐もあって非常に満足しています。
リアルとネット、ショベルとクレーンのコラボレーション。
──今後、チャレンジしたいことはありますか?
上山様
今もコロナの影響で再開できていないリアル入札会をお客様からはやってほしいというリクエストもあるため、今後はネットオークションと使い分けしていきたいと考えています。そしてネットオークションでは、より現場に近いものを提供できるよう機械の動画を公開したり、写真のクオリティを上げていきたいと考えています。
村田様
ショベルとクレーンの入口が統合されたことで、相乗効果として問い合わせが今後増えていくことを期待しています。
お忙しい中、お話を聞かせていただきありがとうございました。
(撮影:菊野 くるみ)
GMOメイクショップとGMO NIKKOでシステム&デザインを制作
コベルコ建機インターナショナルトレーディング様のネットオークションサイトは、GMOメイクショップの「GMO クラウドEC オークション」(https://www.cloudec.jp/package-ec/auction/)にて商品管理、取引管理、顧客管理のシステムを構築。GMO NIKKOにて、WebデザインおよびUI/UXデザインを構築しました。キックオフの7月中旬から週に一回、関係各所のみなさまが同席される定例ミーティングを設定し、スピード感のある進行を実施しました。
上山様に「GMOさんは、スケジュール管理する人やデザインする人などの役割が決まっていたので、分かりやすくやりやすかったです。」というお言葉をいただきました。
この度は、本当にありがとうございました。
Staff list
Account Planner:GMOメイクショップ 江島みゆき
Project Manager:GMOメイクショップ 犬丸 真人
Web Director:GMO NIKKO 菊野くるみ
- ライター:菊野 くるみ(きくの くるみ)
- GMO NIKKO/ゼロイチ所属アートディレクター。2013年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。同年入社。アートディレクターとして、大手旅行代理店・家庭薬・日用品・金融・教育・放送局などのWebやSNSのデジタルからオフラインまで幅広いクリエイティブを制作。
第89回毎日新聞広告デザイン賞 最高賞/第2回ヤング・クリエイティブ・アジェンダ 優秀賞