Jリーグがクラブと進めるコンシューマー向けマーケティングの形。笹田賢吾 #サプライジングパーソン
(執筆:サトートモロー 進行・編集:いいたかゆうた 撮影:小林一真)
ソーシャルギフトサービス「GIFTFUL」を運営する株式会社GiftXのいいたかゆうたさんが、マーケターと対談しつつその知見を学び、変化の時代を生き抜くビジネスの本質に迫る連載「サプライジングパーソン」。
今回のゲストは、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)執行役員で事業マーケティング本部本部長の笹田賢吾さんです。
笹田さんはインターネット黎明期から、18年に渡りWebサービス事業に従事。2015年からはJリーグにて、デジタルマーケティング戦略(DX)の立案・推進の責任者を務め、2020年からコンシューマー向けマーケティング全体の責任者になりました。
コロナ禍という困難にも見舞われながらも、DXは着実に進み、Jリーグとクラブとの連携も強化されていると笹田さんは語ります。記事では、Jリーグが今、どんなことに重点を置きマーケティング活動を行っているのか伺いました。
デジタル社員第一号の入社。今のJリーグの姿。
いいたか:
笹田さんはどのような経緯で、Jリーグにジョインすることになったのですか?
笹田:
私は前職で、ニフティ株式会社に約18年在籍していました。パソコン通信という、インターネットの前身のようなサービスが終焉を迎え、インターネットが各家庭に普及し始めたころから、ネット業界に携わり続けていました。
そして2015年、Jリーグはデジタル戦略を強化するという方針を発表しました。新聞でそのニュースを知り面白そうだなと思った矢先に、人材会社からオファーをいただいたんです。
当時40歳の私は、応募しても採用されるとは思っていませんでした。その時はまだ、40代の転職活動は珍しかったですから。それでも面接を受けてみたら、まさかの内定をいただき、デジタル戦略を推進する社員の第一号として、Jリーグにジョインしました。
いいたか:
笹田さんが第一号だったのですね。その時のJリーグは、どのような状況だったのでしょうか?
笹田:
2015年のJリーグは、ちょうど「※Jリーグチャンピオンシップ」を再開するというタイミングでした。
JリーグのトップカテゴリーであるJ1で行われていた年間王者決定戦のこと。1993〜2004年まで続けられたのち、一度終了。2015年・2016年シーズンで復活し、再び終了した。
笹田:
チャンピオンシップはサポーターの反対があった他、世の中の関心度やメディアでの露出が伸び悩むなどさまざまな課題を抱えていました。デジタル戦略を推進したい一方で、限られた財源をどのように使っていくかというタイミングだったんです。
いいたか:
その状態からどうやって、デジタルマーケティングに強い組織を作り上げていったのでしょうか?
笹田:
私が入社した時のJリーグは、リーグにもクラブにも「マーケティング=BtoBセールス」という認識が浸透していました。コンシューマー向けのマーケティングの機能は、少なくともリーグ内にはない状態でのスタートでした。
そこから年月を重ねるうちに、リーグ内にコンシューマー向けマーケティングの重要性が浸透していきました。その背景には、入場者数をもっと増やそうという気運が高まっていったことが挙げられます。
それと、ライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」様との契約があったのも大きいです。2017年、DAZN様とは10年総額約2,100億円の大型放映権契約を結びました。時をさかのぼれば、明治安田生命様も2014年からパートナー契約を結んでくださっています。パートナー各社が、Jリーグの将来に投資してくださっている以上、Jリーグのファンを増やすのは私たちの使命です。
そこで、財務基盤がある程度安定していったのに合わせ、コンシューマー向けのマーケティング組織を、DXの文脈から少しずつ広げていったのです。
いいたか:
DXの推進から、マーケティング組織づくりにつなげていったと。現状、Jリーグのマーケティングにおいてはどのような指標を重要視していますか?
笹田:
コンシューマー向けのマーケティングのKGIとして、普遍的な指標が三つあります。一丁目一番地は「スタジアム入場者数」です。これはおそらく、スポーツビジネスのベースになる数字ではないかなと思います。
次は「関心度」です。Jリーグがどれだけ、世の中から関心を得られているかはとても重要です。もう一つは「視聴者数」です。スタジアムには来場していないけれど、Jリーグを見てくださっている方もつぶさにチェックしています。
いいたか:
関心度はどのように計測しているのですか?
笹田:
リサーチ会社に依頼して、定期的にパネル調査を行っています。これまでは年一回、全国を対象に行っていましたが、現在は年二回、ローカルエリアと全国で分けてアンケートを取っています。
全国の調査ではJリーグ全体の関心度は分かっても、クラブ側からするとマクロすぎて、自分ごとにならなかったからです。年一回の計測も、実態がなかなかつかめないということで、より状況を把握しやすい形でローカルエリアも含めて年二回にしていきました。
何もない状態でのスタート。コロナ禍での苦労と成長。
いいたか:
Jリーグにジョインして、もっとも苦労した時期はいつでしたか?
笹田:
一番しんどかったのは入社直後です。デジタルプラットフォームに投資をして何の意味があるのかというのが、当時の雰囲気でした。
転職後、私は3ヶ月ほどかけて全国のJ1/J2のクラブを回りました。そこでクラブの方々と話しましたが、最初のころはほとんど理解を得られませんでしたね。「駅でチラシを配った方がいいんじゃない?」など、違うことをやった方がいいとも言われていました。
組織の状況に加え、ステークホルダーが多く説明責任もあったので、大変でした。限られた貴重な財源で、効果が出なかったら…と心配していた時もありました。
入社から1年は、私とエンジニアだけ別の部屋で、黙々とベンダー相手に要件定義などを協議したり、クラブに意見を求めたりしていました。他の方々がサッカーのことを話し合っているなか、まるで逆サイドの仕事をしていたあの時が、一番大変だったかもしれません。
いいたか:
Jリーグとして「デジタル戦略を強化する」と宣言したものの、何も分からない中で笹田さんが主導せざるをえなかったのですね。
笹田:
それでも、組織が立ち上がりクラブの成功事例が出始めてからは、皆さんも理解して協力してくれるようになりました。事例をきっかけに、リーグもクラブもアクセルを踏み込めるようになったんです。
いいたか:
徐々に体制が整いつつあった中で、コロナ禍が起きたのかなと思います。Jリーグも大きな影響を受けたと思いますが、その時の状況や、どんな対応を取ったのかお聞きしたいです。
笹田:
コロナ禍は本当に大変でしたね…。実は、Jリーグは2019年に過去最高の入場者数を記録しました。2019年の年初あたりから、各クラブがCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)に取り組むようになり、大きく数字を伸ばしていったんです。
試合日程や天気やイニエスタ選手の加入など、いい状況が重なったおかげで、1,100万人という年間入場者数の目標をクリアして、J1の平均入場者数も2万人を超えました。
いいたか:
素晴らしい数字ですね。
笹田:
他のスポーツも同様の状況で、2019年はコト消費が非常に盛り上がりを見せていて、2020年はさらに数字を伸ばしていこうという計画を立てていたんです。その矢先に、コロナ禍が始まってしまいました。
Jリーグは、第一節の開幕戦をやったきり、7月4日まで試合を中断せざるを得なくなりました(J2・J3は6月27日から再開・開幕)。
いいたか:
つい最近まで、声出しも制限されていましたね。
笹田:
この3年間、サポーターの皆様には本当に我慢をしていただきましたが、コロナ禍があったことで、サポーターのエンゲージメントの高さを改めて実感しました。試合が再開後、ファン・サポーターの方々の入場者数や視聴者数はすぐに回復したのです。その様子にはとても驚きましたし、感謝しかありませんでした。
また、コロナ禍では結果としてDX化が非常に進みました。チケットのEC化率は、この時100%近くまで上昇しました。昨年までのマーケティングは、ブレーキとアクセルをうまく調整しながら、なんとかやってこられたという感じです。
クラブを巻き込んだ顧客起点のマーケティング
いいたか:
ちょうど先日、Jリーグの関係者の方と食事に生かせていただいたのですが、サポーターに関する話題がとても多いのが印象的でした。Jリーグでは、いわゆる「顧客起点マーケティング」について、どのように考えて施策を展開しているのでしょうか?
笹田:
顧客起点マーケティングは、M-Force株式会社 共同創業者の西口一希さんの本に感銘を受け、取り組もうと思いました。
顧客起点マーケティングをやろうと思ったきっかけは、JリーグID(Jリーグの各種サービスで利用できる会員IDサービス)の新規会員数の伸び悩みと関心度の低下でした。JリーグIDは私が最初に手がけたプロダクトで、アップセルや既存顧客の可視化を目的に導入し始めたんです。
可視化の成果は、2019年頃である程度見えてきました。同時に、CRMやデジタル戦略の強化だけでは、限界が来ると感じたんです。今来場してくださっている方々だけでなく、JリーグIDの外を見ないと、顧客を増やすことはできないと考えました。
そこで、M-Forceさんが提唱する※9segs®を導入しようと考えました。2021年にM-Forceさんに依頼して、調査やチームの立ち上げを進めていったんです。
自社・競合ブランドの顧客を「9つの顧客セグメント」に分解し、セグメントごとの購入心理や購入行動データを分析するメソッド。 自社・競合ブランドの顧客分布や、それぞれの顧客セグメントの特徴、顧客セグメント間の差を可視化することができる。
9segs®を活用しようと思ったのは、Jリーグの関心度の内訳を細かく分解・検証したかったからです。また、コロナ前の盛り上がりを取り戻すため、テレビCMなどを絡めた大型キャンペーンの投資ができる環境を整えるため、JリーグIDの外の人々に対して、WhoとWhatを明確にしたいと考えました。
今振り返っても、この選択は正解だったと思っています。9segs®のフレームワークで関心度の調査を行ったことで、各クラブのポテンシャルや認知度のボリュームが把握できるようになりました。テレビCMを絡めた大型キャンペーンでも、見込み顧客の獲得やCRMとの連携など、しっかりと数字が出せています。
いいたか:
しっかりと成果が出ているのですね。とはいえ、見込み顧客の獲得という観点では、Jリーグだけでなく個々のクラブの努力が、大きな要因を占めていると思います。Jリーグはどのような意識で、クラブと連携しているのでしょうか?
笹田:
リーグでしか出来ないこと、リーグがやった方がいいことを支援するという考え方をベースに置いています。クラブが個別で取り組んだ方が、小回りが利いて成果が出やすいものは、手を出さないようにしています。
ですが、今年からは組織のあり方が変わって、より個別的にクラブを支援できる部署が立ち上げられました。今後はリーグ全体のマーケティング活動だけでなく、各クラブの「ラストワンマイル」の部分も支援していこうと考えています。
具体的には、ローカルメディアの露出で、放送局や代理店と連携して、サッカー番組を立ち上げ、パブリシティを獲得したり、試合中継の本数を拡大したりしています。地域のクラブは、集客や営業で手一杯です。そこで、リーグのスタッフがクラブの現場に赴き、地域のクラブのメディア露出の支援に尽力します。こうした活動の結果、ローカルエリアのクラブの露出は、非常に増えています。
いいたか:
クラブとの関係性の密度を、さらに高めているのですね。
笹田:
クラブ運営のナレッジ共有についても、月一回の頻度で集合研修を行っています。また、データベースの提供や調査・分析、クラブ独自のアプリ開発支援やマーケティング活動の支援などは、セントラルの機能として今後も行っていきます。
それにより、今年からJリーグとクラブのコミュニケーションが、さらに循環していくと思います。
最近、JリーグではVTuberなど、これまで接点がなかったIPとのコラボも積極的に行っています。こうしたアイディアも、クラブからの要望で実現したんです。
いいたか:
そうなのですね。
笹田:
Jリーグとクラブは、毎月担当者会議を企画して、クラブがリーグに求めていることを聞いています。「Jリーグ開幕にテレビCMを展開して盛り上げてほしい」とか、「クラブ単体では組めないIPとコラボしてほしい」とか。
そうやって吸い上げた意見を元に、クラブのやってほしいことを実践しています。クラブに求められているというのは、私たちにとっても後押しになるので、企画を進めやすいです。
いいたか:
とはいえ、クラブの要望をすべて実現するのは難しいと思うのですが、どのようにそれぞれの意見を取捨選択しているのでしょうか?
笹田:
おっしゃる通り、最初は千差万別な意見があったので、一つずつ優先順位を決めて取り組んでいました。それでも、会議を何度も重ねていくと、自然と価値観が合っていくんですよね。2019年に大きな成果が出たと言うこともあって、今はクラブと一緒にアイディアを考え、実行していくという状態になっています。
いいたか:
いつ頃から、クラブとJリーグの価値観がある程度かみ合うようになったのでしょうか?
笹田:
コロナ禍に入る前には、今の状態が作られていたと思います。コロナ前は、Jリーグの事務所(JFAハウス)での集合研修が終わった後は懇親会も開催していました。
クラブのスタッフさんたちの多くは、孤独と戦っています。一人でチケット販売と他の業務を兼務していることも、珍しくありません。横のつながりがない方も多いので、「Jリーグとクラブ」だけでなく、「クラブとクラブ」のコミュニティを形成することも、研修では意識しています。
いいたか:
この先がとても楽しみになるお話しですね。なぜ今、クラブとの距離感を大きく近づけようとしているのでしょうか?
笹田:
2022年3月にチェアマンに就任した、野々村さんの存在が大きいです。
野々村さんは北海道コンサドーレ札幌の運営会社である、株式会社コンサドーレの代表取締役会長を務めるなど、クラブの出身です。自身の経験を元に、リーグスタッフの専門性を生かして、クラブがさらに成長できる方法を模索しています。
例えば、先ほどのローカルメディアへの露出以外でも、サッカー応援番組『KICK OFF!』を立ち上げるなど、ヒトやカネを集中的に投資して、物事を動かしているんです。
野々村さんは、北海道コンサドーレ札幌を人気クラブに成長させた手法を、横展開していきたいのだと思います。そのノウハウに、リーグのスタッフの力を組み合わせれば、さらにJリーグ全体を成長させられるというビジョンがあるのだと思います。
Jリーグで得られたSNSの知見をクラブにも広げていきたい
いいたか:
Jリーグは最近、YouTubeやSNSでの配信にとても力を入れていますよね。
笹田:
SNSはCRMと同様に、Jリーグが力を入れている戦略の一つで、二つの目的があります。
一つは、Jリーグに関心を持ってくださった方への、エンゲージメントを維持・向上させていくこと。もう一つは、瞬間風速的なインプレッションの獲得です。バズることを意識して、企画を立てて実践しています。
ただ、SNSはCRMと比べ、お客様のファネルとしてはやや遠いところに位置します。CRMの方がコンバージョンに近い一方、SNSからの来場者は不透明ですから。そのため、クラブによっては、SNSにリソースを割けないことも多いです。
その点、Jリーグは日本のスポーツ界の中では、SNSで一定以上の存在感を出せています。Twitterも100万フォロワーを超えて、YouTubeの総再生数もプロスポーツリーグで上位です。
いいたか:
確かに、SNSでJリーグのコンテンツが見られる機会は、ここ最近ですごく増えたと感じます。その中でも、「お客様目線」の映像が増えたという印象です。内容が分かりやすく、すごく好感を持てるコンテンツですよね。
笹田:
ありがとうございます。今後は、SNS運用で得られた成果や知見をクラブに伝えたり、サポートしたりするというのが課題です。現在は、一つのツイートがどれくらいJリーグの外の人に届いているのかなど、SNSの裏側の数字をクラブに示せるように準備を進めています。
いいたか:
それらのデータを活用できるようになれば、さらにSNSでいろいろなことができそうですね。
笹田:
そうですね。以前よりも細かく調査を行ったり、現場にも頻繁に足を運んだりしているので、顧客の解像度は上がっていると思います。一部のクラブでは、リーグのスタッフがSNSアカウントを運用を手伝ってたりしてます(笑)。
いいたか:
地方のクラブやチームは、どうしても情報が分断されがちだという話を、知人から聞いたことがあります。東京で活躍する人材と接点を持とうと思っても、物理的な距離があって難しいと。Jリーグのスタッフさんが現地に行くことは、そうした孤独の解消という観点で、非常に求められている気がします。
「ローカル」と「23区内」の両輪を意識したファンづくりを
いいたか:
ここ最近はBリーグやプロ野球など、他のスポーツも盛り上がりを見せています。今後、Jリーグはどんなことを大事にして、活動していきたいと考えていますか?
笹田:
昨年12月、私たちはJリーグの公式YouTubeチャンネルで、『「ここから」2023年2月17日、Jリーグ開幕』という動画を投稿しました。この動画には、私たちが大事にしたいことが詰まっていると思っています。
昨年の「FIFAワールドカップカタール2022」では、日本代表が大いに活躍しました。そして現在、ほとんどの選手がJリーグを経由して、世界のクラブに渡っています。サポーターにとって、自分たちのクラブを離れた選手も、まるで自分の子供のように大切にしています。
地域と密着して、さらには世界ともつながっている。これこそが、Jリーグと他のスポーツとの大きな違いだと思うんです。
いいたか:
それはありますね。7月4日、横浜FCの小川航基選手が海外移籍するというニュースが報じられました。シーズン中でこれからというタイミングにも関わらず、サポーターは彼の挑戦をすごく応援していて。否定的な声は見られませんでした。
6月に行われた日本対エルサルバドル戦では、ガンバ大阪出身の堂安律選手が出場していて、ものすごい歓声がわいていました。これだけの盛り上がりや身内の感覚を出しているのは、確かにJリーグ特有の雰囲気かもしれません。
笹田:
かつて、海外クラブに所属する選手は「海外組」と言われていたこともあります。今は、海外で活躍した選手が日本に戻ってくるなど、一歩先のフェーズに来ている気がします。この価値観を、これからも大切にしていきたいです。
いいたか:
鹿島アントラーズに移籍した内田篤人選手や、清水エスパルスに移籍した乾貴士選手ですね。こうした選手を、日本で見られるのはやっぱり嬉しいですよね。彼らのプレーを見た若い世代が、海外に挑戦していくという好循環が、Jリーグでもっともっと生まれてきたらいいですね。
マーケティング活動の観点では、今後どんなことに取り組んでいきたいですか?
笹田:
現在進めているローカルエリアのクラブのマーケティング支援に、しっかり取り組んでいきたいですね。さらに今後は、東京23区のマーケティング施策にも、力を入れていきたいと考えています。
首都圏には、人口の約4割が集中しています。にもかかわらず、東京23区にはクラブのホームスタジアムがありません。そこで今年から、国立競技場での試合のサポートを意識的に行っています。
国立競技場で行われた試合のデータを見ると、通常よりも23区内からのお客様が多いです。しかも、初めてサッカーの試合を観戦するという方も非常に多くなります。顧客満足度も非常に高いです。
国立競技場はアクセスがいいという点に加え、各クラブが演出などにも力を入れています。
いいたか:
サッカースタジアムは、どこも一定の距離感があります。スタジアムまでの道のりも楽しみにできればいいですが、初観戦の人にはハードルが高いです。その点、国立競技場は非常にアクセスがいいので、Jリーグに触れてもらうにはとてもいい環境なのですね。
笹田:
そうなんです。国立競技場で初めての観戦のハードルを下げ、試合の臨場感を味わっていただく。その中で好きなクラブを見つけたら、ホームスタジアムにも足を運びやすくなると思います。
7月23日には国立競技場で、横浜F・マリノスとイングランドのマンチェスター・シティとの試合が開催されました。こうした晴れの場となる試合は、新規の方々にとっても入りやすい入口となったはずです。
ある意味、国立競技場で大きなお祭りを催して、各地で開催される地域のお祭りも盛り上げていくという感じですね。
今後私たちは、ローカルと23区の両方に力を入れていくことを、基本路線としていきます。そして、マスメディアやSNSなどの適切なメディアでコンテンツを届けていき、顧客のエンゲージメントをデジタルで補足していきます。
- ライター:飯髙悠太(いいたかゆうた)
- 株式会社GiftX Co-Founder
@yutaiitaka
2022年7月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftX共同創業。
自著は「僕らはSNSでモノを買う」、「BtoBマーケティングの基礎知識」、「アスリートのためのソーシャルメディア活用術」。