アフィリエイトと消費者庁 ~真の健全化とは?~
「消費者庁がアフィリエイト広告に対する実態調査を大々的に実施する」
昨年末こう書かれた記事が、走る師を追いかけるようにネットニュースを駆け巡りました。
これはアフィリエイトを出稿中の広告主様や、アフィリエイト広告の関係者にとっては、非常に気になるものだったのではないでしょうか。
よって今回は、消費者庁による調査の内容を確認し、広告主様やアフィリエイト関係の事業者は、今後どうしていくべきなのか?を、探っていきたいと思います。
【目次】
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1.消費者庁によるアフィリエイト実態調査の内容
2.アフィリエイト実態調査を行うことになった背景
3.アフィリエイトと消費者庁
4.どうするべきか?アフィリエイト広告への今後の取り組み方
5.健全化に向けて!
1.消費者庁によるアフィリエイト実態調査の内容
まず昨年末の日本経済新聞さんの記事を改めて確認してみます。
▼日本経済新聞のネット記事一部抜粋
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「アフィリエイト」と呼ばれるインターネットの成果報酬型広告を巡り、消費者庁が広告主や広告作成者、仲介会社を対象に大規模な実態調査に乗り出すことが同庁関係者への取材で分かった。広告作成は副業目的の個人400万~500万人が担い、市場規模は右肩上がりで3千億円と活況を呈している。一方で虚偽、誇大広告といった不正も多く、野放しに近い状態。調査で業界の全貌を把握し、ネット広告のルール作りや規制強化に活用する狙い。
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出典:日本経済新聞「ネット広告アフィリエイト、大規模調査へ 消費者庁」
イメージはつきましたが、より具体的な内容が知りたくなりましたよね?
そこで直接、消費者庁に電話したところ、表示対策課の担当者さんに話を伺うことが出来ました。
担当者さんによると、以下の内容で調査を進行中ということでした。
▼調査内容
アフィリエイトの手法について
・全体のフロー、各業務フロー、各収益モデルなど
・関係者
・各者の責任関係
・法律について
▼調査対象
・広告主様
・広告代理店
・ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)
・アフィリエイター
▼調査スケジュールと調査結果の開示時期
・大枠の調査 : 現在実施中
・各関係者への個社別調査 : 現状をふまえると春先以降を予定
・調査結果の開示 : 調査完了し準備出来次第
そして「現在は、大枠調査を行っている段階で、各関係者への個別調査は春先以降になる予定」のようです。
もしかしたらそのうち、この記事を読んでいる皆さんの会社にも調査依頼がくるかもしれませんね。
2.アフィリエイト実態調査を行うことになった背景
消費者庁の担当者さんに、アフィリエイト実態調査の実施背景もお尋ねしたところ、
「特に、具体的に何かの事象があったからではなく、全般的にトラブル相談が増加している為」とおっしゃってました。
では、どうしてトラブル相談が増加しているのかが気になりますよね。
以下まとめです。
新型コロナ→EC伸びる
→アフィリエイト広告出す
→トラブル増加
→相談増える
→責任の所在があいまいで対応が難しい
→消費者庁が実態調査の実施
つまり大元の理由は、新型コロナのようです。
続いて、詳細です。
まず、昨年はコロナ禍で外出しずらい世の中となったせいか、EC業界の売上が伸びていました。
例えば、三井住友カード㈱のプレスリリースによると、2019年の3月4月にEC利用率が18%だったものが2020年の同月では36%へと上昇しており、他月においても増加していました。更に、弊社が所属するGMOインターネットグループの企業においても、GMOペパボのEC関連事業や、GMOメイクショップのネットショップ構築サービスの利用者数などは堅調に伸長しています。
また、国民生活センターへのネット広告を巡るトラブル相談も増加していて、件数は、昨年が過去最多の約8万6千件(新聞記事より)だったそうです。その中でも、「お試しで商品を購入したつもりが、実は定期購入だった」といったアフィリエイト広告経由でのトラブルが増加しているようです。
尚、現在の法律(景品表示法)では、虚偽や誇大表示などがネット広告にあった場合、広告主だけが処分対象となっています。実際には、原因が広告主様にあるのか、広告を掲載した側にあるのか責任の所在があいまいな状態のようです。
3.アフィリエイトと消費者庁
さらに今までの消費者庁の対応を一部まとめてみました。
今まで気にしていませんでしたが、けっこういろいろと対応されているようですね。
・2014年 12月:消費者庁 「インターネット消費者トラブル防止キャンペーン」を実施
・2016年 6月:消費者庁 「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を作成
・2018年 6月:消費者庁 ㈱ブレインハーツに対し、景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令を下す
アフィリエイトサイトの表示にも言及した初の事例
・2020年 8月:消費者庁 注意喚起チラシ「これって!1回限りじゃないの!?」を作成公開
・2021年1~●月:消費者庁 アフィリエイト大規模実態調査
4.どうするべきか?アフィリエイト広告への今後の取り組み方
消費者庁のアフィリエイト実態調査の結果は、調査完了し準備が整い次第、遅くとも2021年内には何等かの形で公開予定ということでした。(現状、夏までに開示出来るなど時期の断言が出来ないようです)
調査結果次第で消費者庁は、アフィリエイト広告に対するルール作ったり、関係者への注意喚起や規制強化の検討などもされるようです。よって、広告主様やアフィリエイト関連事業者においては、何かしらの対応が求められることになるかもしれません。
消費者庁の調査結果とそれによる変化に対しては、もちろん迅速に対応していかなければいけないと思います。
ただし、規制が強化されたからなどではなく、そもそも本来あるべき正しい形でアフィリエイト広告の掲載がされる状態を構築することが最も重要だと考えてます。具体的には広告主様にとってのブランドセーフティを実現することが、一つの正しい状態であり、結果としてエンドユーザーも安心してECなどが出来る環境の構築へとつながるのではないかと信じています。
5.健全化に向けて!
今回は、
・消費者庁によるアフィリエイト実態調査の内容
・アフィリエイト実態調査を行うことになった背景
・アフィリエイトと消費者庁
・どうするべきか?アフィリエイト広告への今後の取り組み方
という内容をご紹介いたしました。
是非、この記事をご覧の皆様も一緒にアフィリエイト広告におけるブランドセーフティを実現し、自然と安全・安心なアフィリエイトが実施できる環境となるようなエコシステムを創っていけたら嬉しいです。
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※2021年7月1日追記更新
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■参考記事
・日本経済新聞「ネット広告アフィリエイト、大規模調査へ 消費者庁」
・消費者庁 資料1
・消費者庁 資料2
・三井住友カード社 プレスリリース
・GMOペパボ社 決算説明会資料
・GMOメイクショップ社 プレスリリース
・日本アフィリエイト協議会「タグ別アーカイブ: 消費者庁」
・国民生活センター 相談事例・判例
- ライター:叶井 裕之(かない ひろゆき)
- 2014年にGMOインターネットグループへ。アフィリエイト広告のセールス・コンサル、アライアンス等を経て、現在は、事業・業務改善などの企画・構築、DX人材育成関連の企画・構築、slack社内活用推進などに励む。2022年G検定取得。